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SM1000ドル台で推移 エチレン定修明け7月以降に軟化
スチレンモノマー(SM)のアジア市況は、7月以降が潮目となりそうだ。一時の騰勢が収まったとはいえ、主原料ベンゼンの高騰もあり、足元では大きく軟化することもなく1トン当たり1000ドル台での値動きが続いている。定修集中などでタイト化していた原料エチレンの供給が増えてくれば、弱含んでいくと予想される。さらに、年後半には中国を中心に新増設が予定されており、需給は緩和に向かうとみられる。
SMのアジア市況は昨年、定修集中による大幅な供給不足や中東や欧州での設備トラブルの影響で、5月に約1500ドルまで上昇。ベンゼンとのスプレッドは過去最高水準に拡大した。定修が明けてからも在庫積み増し需要が旺盛で、しばらくは需給タイトな状況が続いた。
その後は騰勢が収まり、スプレッドも縮小していったが、12月あたりから引き合いが増え始め、スプレッドは拡大基調に転じた。
需給緩和や原油安などによって800ドル台後半まで沈んでいたアジア市況は旧正月明けに1000ドル台に乗せ、すぐに1100ドルを突破。1100ドル台後半まで上昇した。
日本を含むアジア域内で定修が続いたことや、中東で設備トラブルが発生したことから供給バランスがタイト化。また、米国からアジアへの供給増が見込めないこともあって、スプレッドは高水準を維持した。さらに、エチレンはトラブルによるクラッカーの停止や定修の連続で需給が締まり、稼働を上げたくてもエチレンを十分に手当てできず、稼働を落とさざるを得ないSMメーカーもある。
4月に入ってから1100ドルを下回り、軟化傾向となったが、反発の動きも交えながら1000ドル台での値動きが続いている。定修明けやエチレンの供給回復により、第2四半期明けが潮目となりそう。
一方、国内では今年2月に年産32万トンの設備が恒久停止した。これによって、国内の生産能力は200万トンを割り込んだ。出荷が堅調に推移していけば各社の高稼働が見込まれ今後、設備トラブルが発生すると供給不足の局面が出てくる可能性がある。
(化学工業日報 5月24日付 より)