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SM軟化基調に ベンゼン値差は健全水準
スチレンモノマー(SM)の騰勢が落ち着いてきた。定修による供給減、中東の設備トラブル、需要期入りなどを要因に反発し、アジア市況は1トン当たり1100ドル台半ばまで上昇したが、徐々に軟化してきた。17日にカタール・ドーハで開かれた主要産油国の会合で原油の増産凍結の見送りが決定したことを受け、原油相場が下落。石油化学製品の市況が軒並み下落するなかで、週明けは一段安となった。ただ、原料のエチレンがタイト基調を継ぐなかで、当面は1100ドル前後で推移するとの見方もある。主原料ベンゼンとのスプレッドは高水準を維持している。
原油安などによって1月下旬に900ドルを割っていたSMのアジア市況は2月下旬に1000ドルを超え、3月初めに1100ドル台に乗せるなど急騰した。
2015年は韓国を中心に定修が集中したほか、定修や設備トラブルによって原料のエチレンが不足。エチレンを十分に手当てできないSMメーカーもあった。年初に原油相場が底を打ち、上げ基調だったSM市況は一段高となり、4月前半だけで200ドル以上跳ね上がった。一旦調整が入った後、中東と欧州で設備トラブルが発生。需給はさらにタイト化し、1500ドルをうかがう展開となった。
その後、定修明けと需要の停滞によって弱含んだが、12月からベンゼンとのスプレッドが拡大に転じた。昨年の定修集中時から定修明け後にかけて玉不足を経験しており、旧正月後を意識した在庫の積み増し需要がスプレッド拡大に寄与したもよう。
国内では2月中旬に旭化成ケミカルズが1系列を恒久停止し、残った1系列もほぼ同時に定修に入った。また、NSスチレンモノマーの1系列も定修で休止した。旭化成ケミカルズの定修は4月初旬に終了。NSスチレンモノマーは3月下旬に再開したが、他の1系列がすぐに定修入りしており今週に終了するもよう。
需要期を控えて、能力削減や定修、設備トラブルによって需給がタイト化し、アジア市況は高騰したが、徐々に軟化してきた。中国の需要の弱さなどが影響したとみられる。先週に1100ドルを割り込み、17日に決定した原油増産凍結の見送りを受け原油相場が急落するなか、週明け18日のSMの市況は1045〜1070ドル程度まで沈んだ。ただ、アジアのクラッカー周りの定修は続いており、エチレンがタイト基調を継ぐなかで、当面は安定的に推移するとの見方もある。
ベンゼンとのスプレッドは縮小してきたが、いぜん健全な水準を保っている。
(化学工業日報 4月20日付 より)