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SM、タイト基調継ぐ 中国向け輸出急減 北米品なとが補填
スチレンモノマー(SM)の需給は、少なくとも来年までタイト基調が続きそうだ。今年はアジア域内で年産60万㌧規模の増設が行われた一方、能力削減があったため増強分の一部は相殺された。中国では日本からの輸入が昨年下期から急減し、主に北米品が調整弁となっているようだが、北米では主原料ベンゼンの手当で不確実性もある。アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂など誘導品の域内需要は堅調で、ベンゼンとの価格差は来年も高水準で推移していくとみられる。
SMのアジア市況は昨年以来、おおむね堅調に推移している。昨春から韓国を中心に定修が集中。設備トラブルの多発や原料エチレンの不足も重なって需給がひっ迫し、昨年は年初の1㌧当たり約800㌦から5月に1500㌦レベルまで高騰した。
在庫の積み増しや原油安の再燃、中国の経済成長減速などを背景に弱含んでいったが、今年の旧正月明けに1000㌦台に回復した。昨年終盤から拡大していたベンゼンとの価格差は春にピークを迎え、その後縮小したが、健全な水準を保っている。
今年は、年央に中国で常州東昊化工の30万㌧と中国海洋石油・寧波の28万㌧が稼働を開始した一方で、2月に旭化成の1系列32万㌧が停止した。
昨年、中国では580万㌧が生産され、370万㌧が輸入された。国・地域別の輸入量は韓国120万㌧、中東100万㌧、日本45万㌧、台湾43万㌧、北米35万㌧、東南アジア23万㌧となっている。日本では昨年5月に日本オキシランが撤退(42万㌧)、今年は旭化成の32万㌧が停止し、輸出は大幅に減少している。財務省貿易統計によると、中国向けは昨年1〜6月が26万㌧、7〜12月が16万㌧、今年1〜8月は14万㌧にとどまっている。
中国を中心としたアジアの需給はタイト基調で、中国の在庫は低水準で推移しているもよう。日本からの輸入減は北米品なとが補填している。北米では原料の軟質化が進むなか、SMの輸出を増やす場合にベンゼンを十分に手当てできるかということも密接に絡んでくる。
今年の中国の輸入は1〜8月で前年同期並みの239万㌧。国内生産は40万㌧〜50万㌧増えているもよう。輸出は例年にも増して少なく(約50㌧)、内需は堅調に推移している。
2017年はタイト基調を継ぐとの見方がある。ただ、18年以降は計画されている新増設の動向によっては、タイトな環境が変わる可能性がある。
(化学工業日報 10月20日付 より)