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HDPEタイト基調継ぐ 輸入増も割安感なく

  ポリエチレン(PE)の国内需給バランスは、しばらく引き締まった状態で推移する見通しだ。なかでも、ここ数年で2社合計約18万㌧の供給能力が削減された高密度ポリエチレン(HDPE)のタイト感が顕著となっている。昨年の円安環境で減少した輸入品の数量を国産品で賄うかたちとなっていたが、エチレンクラッカーの定修が集中する今年はPE生産設備の定修も相次ぎ、現状は出荷が追いつかない状況だ。これを補填するため輸入品が増加しており、16万㌧を超えた2014年の実績に迫る数量となっている。ただ、現在の為替水準であれば輸入品に価格面での優位性はなく、需給バランスを崩すほど流入することはなさそうだ。

  HDPEは昨年、円安と高水準なアジア市況を受けて輸入品の優位性が縮小。国産品の引き合いが増加し、メーカー各社はフル稼働に近い状態が続いている。一方、定修を挟み供給量が減少し、4月以降は商社も輸入を増やすなどして対応した。貿易統計によると4〜8月の輸入量は前年同月比で約35%多かった。

  円高ながら輸入品に割安感はない。足元のアジア市況がHDPEフィルムで1㌧当たり1100㌦前後の値を付けるなど一定水準を保っている。中国で石炭由来のPEプラントの稼働が遅れていることや、包装資材としての需要が堅調なことなどが下支えしているとみられる。

  輸入品については、為替水準が1㌦=90円台に入らない限り、国産品に対する価格優位性は出てこないとの見方が強い。また、年後半は国産品の供給が回復し、輸入ペースも穏やかになるとの観測もある。

  内需は汎用フィルムや工業用フィルム、建材向けが景気の影響もあり低調。一方、コンビニエンスストアやスーパーなどで弁当や惣菜を購入し持ち帰って食べる「中食」市場の拡大によって食品包材としての需要は堅調だ。また、風合いのいい日系メーカーのおむつが海外を含め好調なことから、衛生材料向けも底堅い。

  直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)も国内プラントは高稼働を維持しているが、需給はタイト気味となっている。14年以降、2社で15万㌧超の供給が減少したことが影響している。5月以降は輸入量が前年を上回る状態が続く。アジア市況は高水準でC4(ブテンコポリマー)ーLLDPEは1100㌦台後半で推移しているもよう。

  中長期的に市況を左右するのは、米国で生産されるシェール由来PEの動向となりそうだ。LLDPEは17年後半から18年、HDPEは18年終盤から19年にかけてアジア域内に流入してくると予想される。中国の経済成長が現状水準を維持できれば米国品の受け皿となり得るが、中国市場からはじかれる製品が日本や東・東南アジアに流れ込めば、市況に影響をもたらす可能性がある。

(化学工業日報 10月13日付  より)

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