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ABS樹脂 原料高映し強含み

北東アジアCIF1900㌦

 アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂のアジア市況が強含んでいる。汎用グレードの北東アジアCIF価格は1㌧当たり1900㌦付近。ここ2カ月ほどで1〜2割上昇した。原料のうちブタジエンとスチレンモノマー(SM)がいずれも高値圏にあるうえ、中国や新興国の需要が堅調に推移していることが背景にある。原料高の状態が今後も続けば、ABS樹脂の価格も高止まる可能性がある。

  例年は、最大需要国の中国で需要家の工場が停止する旧正月に向け、アジア市況は12月後半から2月上旬にかけて下落することが多いが、今シーズンは原料価格の上昇が逆の値動きを引き起こしている。

  ブタジエンは、タイヤ向けなどで合成ゴムと競合する天然ゴムの価格が急騰していることを受け、連れ高で上値をうかがう展開となっている。昨年10月末にそれまでの高騰が一服するも、11月に入ってから上昇基調に転じた。

  また、今月末に旧正月を迎える中国では在庫確保に向けタイヤメーカーなどが高稼働となっており、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)などの原料として使われるブタジエンの引き合いも多くなっているようだ。足元では2000㌦に迫る値動きをみせている。SMも1200㌦前後の高値で推移している。昨年9〜10月頃は1000㌦台に落ち着いていたが、誘導品の堅調な需要や10月に米国で起きた設備トラブルの影響で上昇した。

  ABS樹脂の需要は今後も増加する見通しだ。2015年の世界需要は772万㌧ほどだったとみられる。このうち中国は433万㌧に上り、5割強を占めた。フロントグリルなどで採用されている自動車分野、エアコンや掃除機など家電分野でさらなる需要が見込め、今後も年2%程度の成長が予想される。また、インドや東南アジア諸国といった新興国でも3〜4%成長する見通しで、世界全体では2〜3%伸長するとの見方もある。

  域内の供給能力は過剰な状態が続いており、中国では全体として低稼働となっているとみられる。一方、供給能力は増える方向にある。韓国LG化学は中国広東省のプラントを18年までに現状比2倍の年産30万㌧に増強するほか、韓国でもポリスチレン設備のABS樹脂設備への転換を計画している。

(化学工業日報 1月5日付  より)

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