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ABS、200万㌧体制に LG化学 広東省の能力倍増
韓国のLG化学は、中国・広東省でアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)の能力を2018年までに年15万㌧増強する。寧波市の生産拠点と合わせて中国におけるABS能力は同110万㌧になる。韓国ではポリスチレン(PS)設備をABSに転換することを決定しており、韓国を合わせると同200万㌧ほどになる。ABSでは台湾の奇美実業も同200万㌧超の生産能力を持っており、世界市場でシェア争いが激化しそうだ。
LG化学は中国海洋石油(CNOOC)との合弁で広東省に年15万㌧のABS工場を持つが、同工場の能力を倍増、30万㌧に増強する。投資額は1億㌦。現在50%の出資比率も今回の増強に合わせて70%に変更し、主導権を握る。
中国は世界のABS需要の半分ほどを占め、とくに広東省がある華南地域は最大の需要地。昨年のABS中国需要は合計で430万㌧ほど。現地生産設備の稼働率は平均すると低水準とみられるが、生産能力は同400万㌧に達し、現地供給が拡大する傾向にある。
LG化学は広東省のほか、寧波市にも75%を出資する現地法人がある。ABS同80万㌧の工場を持ち、ほぼフル稼働状態という。また、韓国では麗水のPS年5万㌧設備を来年上半期までにABS年3万㌧に転換することを決めており、麗水の能力は同88万㌧になる。18年には合計で約200万㌧に達する。
一方、台湾の奇美実業の生産能力は、台南市と中国の江蘇省の合計で同210万㌧。世界シェアは20〜25%とみられるが、LG化学は今回の投資で世界シェアを現在の21%から26%まで伸ばす計画としている。ABSの主要メーカーとしては、このほかに英イネオス傘下のスタイロルーション、台湾のフォルモサプラスチックなどが年100万㌧前後の能力を持つ。ABSは世界平均で年6%ほどの成長が見込まれる。
今回の投資でLG化学は売上高7000億ウォン(約641億円)の増加が期待できるとしている。華南における能力増強に合わせ、成長する東南アジア市場開拓の強化につなげていく方針だ。
(化学工業日報 11月9日付 より)