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原油高騰 転嫁ラッシュ 追加修正の動きも、

  石油化学製品市場が値上げラッシュの様相を呈している。昨年11月末の石油輸出国機構(OPEC)の最終的な減産合意の直後から原油相場が高騰。国産ナフサ基準価格は昨年第3四半期を底に上昇に転じ、コスト事情が一変するなか、汎用樹脂や溶剤、可塑剤など多くの製品で採算是正の動きが広がっている。早めに表明したメーカーのなかには追加値上げを打ち出したところもある。石化製品に限らず、カ性ソーダやオレオケミカルなどでも価格修正の動きが出てきた。今後、原料の値上げを受け入れた川下製品の値上げ表明が増えそう。

 化学製品値上げ

  原油相場は昨年初めに1バーレル当たり20㌦台まで下落したが、その後に回復し、11月末のOPECの減産合意を機に急騰。足元は50㌦台で推移している。

  こうしたなか、国産ナフサ基準価格は2015年4〜6月の1㌔リットル当たり4万8800円から5四半期連続で下がり、16年7〜9月は3万1300円となった。年終盤からの原油急騰が反映され、10〜12月は3万4000円。今年1〜3月は4万2000円以上になるとの見方が大勢を占めている。

  ナフサ以上に急騰しているのがブタジエンやベンゼン。ブタジエンやベンゼン。ブタジエンのアジア市況は合成ゴムと競合する天然ゴムの高騰などが影響し、1㌧当たり1000㌦前後だった昨年夏から年明けに3000㌦を超えた。ベンゼンのアジア市況は、域外で誘導品の設備トラブルが複数発生し、誘導品の域内生産が増えたことをきっかけに需給バランスがタイト化。高騰前の10月は600㌦台前半だったが、先月に1000㌦台に乗せた。

  原料コストの上昇を受け、石化製品市場は昨年12月から値上げ表明に沸いている。原油高騰はユーティリティーや物流などのコストにも影響してくる。エチレン誘導品のポリエチレン(PE)、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル、プロピレン誘導品のポリプロピレン(PP)、酸化プロピレン、アセトン、イソプロピルアルコール、アクリル酸、ブタジエン誘導品の合成ゴム、ベンゼン誘導品のポリスチレン、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ビスフェノールA、アジピン酸など多くの製品でアナウンスが行われ、PEやPPなどでは追加値上げの動きもある。

  このほかでは、カ性ソーダの値上げ表明が相次いでいる。前回の値上げでは各社の打ち出しがなかなか出揃わす、最初の1社の表明から全面決着までに1年以上を要した。今回は現在までに9社が表明ずみ。国内需給はひっ迫傾向にある。海外需要は堅調で、輸出価格は高水準で推移している。原油高騰による電力コストの上昇見込みなども価格修正要因となっている。

  オレオケミカルの場合、天候不順などを背景に原料の天然油脂の相場が続騰し、パーム核油は1年前の2倍に跳ね上がっている。昨年に2回の値上げが行われたが、年明けに追加値上げが打ち出された。

  液化炭酸ガス・ドライアイスの値上げの背景には、国内の石油精製やアンモニア生産の縮小によって原料ガスの副生が減少し、工場閉鎖や減産が相次いだことで需給がひっ迫していることなどがある。

(化学工業日報 2月3日付  より)

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