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原油輸入価格が反発 2月 サウジ産は4カ月ぶり
日本の石油会社が長期契約で輸入する原油価格が上昇に転じている。2月分のサウジアラビア産の代表油量は4カ月ぶりに反発した。産油国で増産の凍結に向けた協調機運が高まっていることが押し上げ材料となっている。供給過剰が長引く中で反発力は乏しいが、下値不安はひとまず後退しつつある。
増産凍結機運が押し上げ
日本は原油の約8割をサウジなど主要産油国との長期契約に基づき輸入している。直接取引(ダイレクト・ディール=DD)原油と呼ばれ、価格はアジアの指標であるドバイ原油とオマーン原油の平均価格に調整金を加減して毎月見直している。
サウジ産の代表油種である「アラビアンライト」の2月分の長期契約価格は1バレル28.92ドルとなり、12年半ぶりの安値をつけた1月から13%上昇した。産油国での増産基調に変化の兆しが出る中、ドバイ原油のスポット価格は1日に2カ月ぶりの高値をつけた。
石油輸出機構(OPEC)加盟国の2月の生産量は日量3200万バレル前後となり、前月に比べて小幅に減ったもようだ。欧米による制裁を解除されたイランは増産を急ぐがナイジェリアやイラクで生産量が減少した。サウジアラビアやロシアなどが増産の凍結に動き、過熱感が強まっていたシェア争いは一巡しつつある。
英調査会社ウッドマッケンジーの調査ディレクター、スシャント・グプタ氏はイランの石油輸出について、油田インフラの老巧化などが影響し「年内の輸出の増加量は(政府目標の日量100万バレルを下回る)40万バレルにとどまるだろう」と指摘する。
米国でもマラソンオイルなどシェールオイル大手は今年の生産量を前年比約1割引き下げる方針で、年半ばから生産調整が本格化するとの見方が多い。
中国で財政出動への期待も高まるなか、需給改善をにらんだ投機筋は強気の投資スタンスに傾いている。ロンドン市場では投機筋による北海ブレンド原油の買越し残高は12万枚(1枚千バレル)を上回り、昨年5月以来の高水準にある。
一方で、サウジなど中東産油国は自国のシェア縮小につながりかねない減産に後ろ向きな姿勢を崩していない。
世界経済の不透明感もぬぐえず、日量で150万バレルを超える需給ギャップの解消には時間がかかる。
グプタ氏は「記録的な高水準にある原油の在庫も重荷となり、年末までブレントは50ドルが上値のメドとなるだろう」と指摘する。
(日本経済新聞 3月2日付 朝刊 より)