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ベンゼン騰勢継ぐ 20日間で一気に200㌦

  ベンゼンのアジア市況上昇が過熱している。ここ20日間の短期間で1㌧当たり約200㌦跳ね上がり、2年ぶりの高値となった。先週にインドの石油化学コンプレックスでフォースマジュール(FM=不可抗力による供給不能)が発生しているが、この影響はないもよう。原油相場の上昇といったこの間の上げ要因にトレーダーの思惑なども重なってか、高値が高値を呼ぶ異例の展開に発展している。

  ベンゼンのアジアスポット価格は2014年7月平均の1370㌦をピークに、原油価格下落とともに軟化が進んだ。11月平均は1000㌦を割り込み(997㌦)、15年1月平均の609㌦でいったん底を打った。15年はフェノールで年産80万㌧、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)で30万㌧など誘導品の新規設備が相次いで立ち上がったため、中国のベンゼン需要が急増。月間輸入量は3月に20万㌧近くに達した。

  こうしたなかでアジア市況は上昇に転じ、4月平均は827㌦となった。5月に入ってから在庫が意識され中国の輸入の勢いが収まってきたことや、誘導品の設備トラブルが多発し、ベンゼンの需要が減退したことなども弱含みの要因となった。夏場には中国経済の減速懸念が強まったほか、原油が6年半ぶりの安値となったため、ベンゼンは売りが先行して550㌦割れとなった。その後に上昇したが、今年初めに原油安が再燃して500㌦台前半まで沈んだ。

  直近では10月後半から上昇基調となった。米国で誘導品のスチレンモノマー(SM)の設備トラブル2件が立て続けに起こったため、中国でSMの生産が拡大。ベンゼンは期近物の需要が高まって需給が締まり、11月18日に700㌦を突破。30日の石油輸出国機構(OPEC)の減産最終合意を受けて原油相場が上昇したことで高値を追い、今月5日に800㌦台に乗せたばかり。

  米国のSMの設備トラブルの解消にめどが立っていることや、域内におけるベンゼンの新規設備立ち上げもあって、アジア市況は安定に向かうとの観測もあったが騰勢は止まず、8日に一気に900㌦を超えた。900㌦台乗せは14年11月以来とみられる。7日にインドで発生したFMの影響はないとされる。需給タイトや原油相場上昇といったこれまでの延長に加え、トレーダーの思惑などが重なったとの見方もあるが、これほどの急騰の背景は明確でないようだ。

(化学工業日報 12月12日付  より)

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