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ドバイ原油、米産より高く OPEC減産合意が影響
原油市場で中東産原油相場がニューヨーク市場の米国産標準油種相場を上回る逆転現象が起きている。アジア市場の指標となるドバイ原油は中質油で、ガソリン成分を多く含む軽質な米国産のほうが高くなるのが一般的だ。サウジアラビアなど石油輸出国機構(OPEC)加盟国の減産による価格押し上げ策が影響した。
シェール増産、米で過剰感
16日のドバイ原油のスポット価格は1バレル51.70㌦前後。日本時間16日夕のニューヨークのWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)時間外取引相場は51.10㌦前後で、ドバイ原油が上回っている。5〜9日の週間平均価格は、ドバイ原油がWTIより0.80㌦ほど高い。ドバイ原油が週間平均で逆転するのは1年1カ月ぶりだ。
きっかけは8年ぶりに減産に踏み切った11月30日のOPEC総会だ。加盟国全体の生産を2017年1月以降、日量120万バレル減らし同3250万バレルに抑えると決めた。
サウジアラビアの50万バレル弱を筆頭にイラクやアラブ首長国連邦(UAE)など中東産油国が100万バレル減らす。中東勢がOPEC減産量の8割強を占める。「中東産の供給が絞られるうえ、中国などの需要は強い。需給引き締まりが意識されている」(住友商事グローバルリサーチの舘美公子シニアアナリスト)
16年1月には一時、ドバイ原油がWTIを約5㌦も下回る場面もあったが、総会を機に価格差を縮めた。中東の産油国の生産動向の影響を受けやすいドバイ原油の上昇に勢いがついた。
米国内の油田のリグ(石油採掘装置)の稼働数は回復基調をたどっている。「シェールオイルの増産観測がWTIの上値を抑えている」(みずほ総合研究所の井上淳主任エコノミスト)。WTIの受け渡し地点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫は12月9日時点で6600万バレル強。ここ2カ月ほどで1割以上増え、在庫過剰感が意識されている。
1990年以降、ドバイ原油がWTIに比べ安い時期が続いた。シェールオイルの登場で、2010年代はWTIが安くなる場面が目立ったが、その後、WTIのほうが再び高くなった。OPEC総会後のドバイ原油が1年1カ月ぶりに逆転したが、今後も続くのか。WTIが割安となったことで「米国の原油輸出が増える」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之主席エコノミスト)と、逆転が解消されるとの見方もある。
一方でOPECは監視機構を設けるなど、今回の減産合意の実効性を高めようとしている。「ドバイ原油はタイトな状況が続き、WTIを逆転した状況が続きそうだ」(住友商事の舘氏)との見方もある。
(日本経済新聞 12月17日付 より)